ヤン

ヤンは優雅で優れた踊り子だが、その技は彼女の命綱であるのと同時に、苦しみの元凶となってきた。

彼女は16年前の大変動で甚大な被害を被ったシューロンから逃れてきた難民だ。祖国の崩壊から逃れたヤンは、父親と離れ離れになった挙句、タイ・クランの路上で暮らすことになった。

何年もの間、彼女は小銭や食べ物の切れ端を報酬として踊っていた。だがある日、人気のナイトクラブの女主人が彼女に目を付け、引き取った。ヤンは十分な食事を与えられ、暖かいベッドで寝ることができた。だがその一方で女主人に課せられる訓練は過酷で、「あなたのため」と称して辛く当たられることもしばしばだった。

数年後、マラが権力を握ってナイトクラブを自分だけの楽園にしたとき、彼はその技と美しさからヤンに白羽の矢を立てたのだった。